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北海道に憧れ、北海道を愛し、しっかりとたくましく北海道に根を下ろしている人々のドキュメンタリー。

第11回目は札幌市にある「元気ショップ」店長の岩森優子さんにお話を伺いました。 昨年12月に地下鉄 東西線大通駅コンコースにオープンし、数ヶ月でコンコースの顔となったお店の経緯や今後を 聞くうちに様々なことがわかってきました。未来の福祉のかたちがここにありました。
再生にはQuickTimeが必要です。
これまでの福祉ショップの概念を180度変えた店構え。明るくお洒落な店内。
他の店に見劣りしない品揃え。そしてなによりも素材にこだわったパンやクッキーの
美味しさ。来店するお客様が笑顔で楽しめる空間がここには存在する。
2005年7月『市長と”おしゃべり”しませんか』という市民対話(タウンミーティング)の場で、 精神障がい者の作業所で働いている方から「自分たちの作っているケーキに自信がある」 「ケーキを札幌の中心部で売って、たくさんの人に食べてもらいたい」などの意見があり、市長と札幌市はその発言に応えるべく全力を尽くし実現へと向かった。 12月3日から9日までが「障害者週間」ということもあり、 それに合わせ2006年12月2日午後に札幌の中心地である大通りにオープンした。
人の往来が比較的多い地下鉄東西線のコンコース内にお洒落でやわらかい光が 溢れている。そこが「元気ショップ」だ。
元気ショップがオープンするにあたり店長を務める事になった岩森さんは、
もとは大手百貨店などで販売に携わり経験を積んでいる。
「実は福祉に携わった事は無かったんですよ。せいぜい祖母の車椅子を押す程度でしたし。『障がい』という
ことに対しての知識は何もありませんでした。知識がないから偏見なんてもちろんありませんでしたし、
知的・身体・精神の区別すらわかりませんでした。」
そんな岩森店長だったがある時自分が病気になり、初めて気が付いたことも多いという。
「からだが思うように動かせない」そんな中でも懸命に生活している彼らに教えてもらったことが
今の自分を支えている。
「作業所をはじめて見て回った時、少しは不安を感じましたよ。実際、一緒に仕事をやっていけるか
自信がありませんでした。でもね、何カ所も作業所を見て回るうちに健常者と変わりなく、むしろそれ以上に
働いている彼らを目の当たりにすると不安なんかなくなりましたよ」と笑顔で当時を振り返る。
オープンして5ヶ月が経つが一日の来店者数約300人とオープン当初の勢いは変わらない。昼間は年配層が多いが、 朝や夕方は会社勤めや学生さんがお昼のお弁当やおやつを買い求める方も多い。品質も他店には負けない自信がある。 パンやクッキー、パウンドケーキなど手作りの食品を中心に販売しており、その日のうちに 売り切れて生産が追いつかないという嬉しい悲鳴を上げている。 あるお客様は「デパートのものと比較しても低価格・高品質」とお墨付きだ。
スタッフのひとり、吉田さんの笑顔を見てもらうとわかるように店内は笑顔で 溢れている。
店内に陳列された商品は市内約150カ所にある小規模作業所のうちおよそ100カ所と委託契約。 そのうち食品関連は30カ所と契約しており様々な種類を選ぶ事ができる。 札幌市東区のパン工房ひかりさんから入荷する天然酵母パンはイチオシで、 道産の天然素材にこだわり有精卵や天然塩などを厳選し安全でおいしいものばかりだ。 他に販売しているものは調味料やアクセサリー、布・皮製品、木工製品や手工芸品と実に500種類にも及ぶ。 食品以外の人気商品は木ベラやブックカバー、ティッシュカバー、ハンドバッグなどが売れている。 中には売れ行きがよく入荷待ちの商品もあるという。お客様の意見を反映させた 商品展開もあるそうで、要望や意見を取り上げ製品化することもしばしば。 木ベラは札幌市内在住のシェフが元気ショップの趣旨に賛同し開発した商品だ。
元気ショップがオープンする前は自分たちで作ったものを大々的に販売できる場所は少なく、販路も乏しかった。しかし今では作業時間が倍になるくらいの忙しさ。 作業時間が増える事で日々を充実して過ごせるようになったと作業所で働く皆さんは言う。 実際に作業所のメンバーさんが納品に来るケースもある。自分が作ったという実感を味わうことが できる醍醐味。「いっぱい売れて嬉しいです」と素直に言葉にする。 そんなひとことが店長をはじめ、元気ショップの設立・運営に携わった人達にはたまらない言葉 であり、今後の励みになる言葉だと思った。
ひとことで福祉と言って何を連想するだろう。 健常者は作業所の方々をどのように思っているのだろう。「障がいと健常」という言葉も語弊があるように思える。 元気ショップ設立の目的は障がいを持つ方々が地域で自立していくことにある。 「市民の皆さんに福祉の店とは思わないでひとつのお店として評価して欲しい。 あくまで商品展開で営業をしていくつもりです」 と岩森店長は語る。
市長の言葉を引用させていただくと、「自分たちの意見が形になったお店だからこそ 意欲を向上させるということに寄与するものだと思うし、効果的な就労支援策のひとつになる。 障がいのある方々が地下鉄に乗って『元気ショップで会おうよ』というふうに 軽い気持ちで待ち合わせの場所にするだとか、ボランティアの方々の集合場所や福祉を学ぶ生徒さん達の情報交換の場 などの拠点になればと切に思う。」
札幌から北海道へ、そして全国へ。福祉のお店が他のお店と対等に好条件の場所にオープンした。 全国への発信基地にこの「元気ショップ」が育って欲しい。未来の福祉像に限りなく可能性が広がる。
「新しい福祉のかたち」そんな言葉が思い浮かんだ。